芥川賞候補に尾崎世界観の「母影」が、直木賞候補に加藤シゲアキの「オルタネート」がそれぞれ初ノミネートされたとニュースでみました。
第164回芥川賞・直木賞の候補作が18日に発表されました。
選考会は1月20日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開催されます。
受賞作は、2021年1月20日に発表されます。
芥川賞候補に尾崎世界観の「母影」
第164回芥川賞の候補作品に、ロックバンド・クリープハイプのヴォーカル・ギターとして活躍する尾崎世界観さんの小説「母影」が選出されました。
「母影」は文芸誌「新潮」2020年12月号に掲載された尾崎世界観の文芸誌では初となる中篇小説で、原稿用紙150枚にわたる作品です。
「母影」は、尾崎にとってデビュー作「祐介」以来、約4年半ぶりの小説作品で、母子家庭で育った小学校低学年の女の子が主人公の物語で、少女の視点から見た世界が描かれている。
また本作を収録した単行本「母影」が1月29日に発売されることが決定した。
さらに「母影」は、小学生の女の子の視点で、わからないからわかる、書けないから読める、そんな感覚を書きたいと思ったと明かしたそうです。
また、この作品を読んだ父親からも「そういえばこんな子供だったね」という感想をもらって、つくづく、ちょっと変わった変な子供で良かったと思ったとコメントしたそうです。
母影のあらすじ
主人公は小学校低学年の女の子。
母子家庭で育った彼女は、小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、放課後の時間をもっぱらお母さんの働くマッサージ店の空きベッドで過ごしている。
カーテンの向こうでお客さんを施術して「直してあげる」母親は、昔は女性客の相手もしていたはずなのに、日に日に苦しそうになっていく。
次第に店に来るのがおじさんばかりになってきて……。
カーテンの向こうの母親が見えない。
少女は願う。
「もうこれ以上お母さんの変がどこにも行かないように」。
楽 天
母影 [ 尾崎 世界観 ]
尾崎世界観その他の著書
16年、初の小説「祐介」を書き下ろしで刊行。
苦汁100%
苦汁200%
犬も食わない(千早茜との共著)
泣きたくなるほど嬉しい日々に
身のある話と、歯に詰まるワタシ(対談集)
芥川賞このほかのノミネート作品
・推し、燃ゆ 宇佐見りん氏
・コンジュジ 木崎みつ子氏
・小隊 砂川文次氏
・旅する練習 乗代雄介氏
直木賞候補に加藤シゲアキの「オルタネート」
第164回直木賞候補作品にはアイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキの「オルタネート」が選出されました。
「オルタネート」は、高校生限定の架空のマッチングアプリを通して、男女3人が悩み、傷つきながら成長していく青春群像劇。
2012年1月に作家デビューし、小説は6冊目。
加藤は、書店員さんから「1作目は応援できるけど、書き続けないと応援し続けられない」と言われたのが印象的だったそうです。
続けることが、僕を受け入れてくれた小説界への恩返しかなと言葉に力を込めたという。
オルタネートのあらすじ
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が流行となった現代。
東京にある円明学園高校で、3人の若者の運命が、交錯する。
3人の主人公を中心に、悩み苦しみながらも成長していく様を描く青春群像劇。
ひとりは、調理部部長で品行方正、しかし、料理コンテストでの過去の大きなトラウマから人付き合いにコンプレックスを抱える蓉(いるる)がまた同じ舞台へ上がる為に立ち向かう。
また、母との軋轢を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネートに異様なまでの執着をみせて運命の人を探し続ける凪津(なづ)。
そして、高校を中退し、かつてのバンド仲間の存在を求めて大阪から単身上京する尚志(なおし)。
交わることのない彼ら彼女らの物語は偶然にも必然的に、ラストに訪れる”1日”の中でシンクロするように交わっていく。
出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、やがて訪れる「運命」の日。
3人の未来が、人生が、加速する・・。
それぞれ出会いや別れ、葛藤や挫折を経て歩み続けながら辿り着いた場所は・・・。
悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。
圧倒的な筆致で紡がれた、運命と選択の物語。
OSRIN監督のコメントは、オルタネートという小説を読み終わったとき、これは小さな世界の大きな現象なんだと感じたということでした。
オルタネートの意味
作品の中では、SNSアプリの名前でもある「オルタネート」。
辞書で調べると、「交互に」「互い違いの」「代替物」などの意味がある。
加藤シゲアキその他の著書
加藤は12年、「ピンクとグレー」で作家デビュー。
閃光スクランブル
Burn-バーン-
傘をもたない蟻たちは
チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)
できることならスティード
直木賞このほかのノミネート作品
・汚れた手をそこで拭かない 芦沢央氏
・八月の銀の雪 伊与原新氏
・心淋し川 西條奈加氏
・インビジブル 坂上泉氏
・アンダードッグス 長浦京氏
芥川賞候補に尾崎世界観「母影」が直木賞候補に加藤シゲアキ「オルタネート」初ノミネートのまとめ
芥川賞候補に尾崎世界観「母影」が直木賞候補に加藤シゲアキ「オルタネート」初ノミネートのニュースでした。
直木賞初候補者は6名で、初ノミネートで占められるのは25年ぶりだという。
受賞者が都内および近郊在住の場合、発表当日に共同記者会見を開催するそうです。
地方在住の場合もZoomで参加する予定だそうです。
贈呈式は2月中旬に都内で行われ、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金が与えられるとのことです。
芥川賞候補・直木賞候は、毎年この時期になると気になることです。
素敵な作品が沢山出版されているのですね。